バカなる

組織が最小の労力で勝つためには、差別化が必要です。

一方で、みんなが「これはイイね」とならないとやはり商売は難しいです。

そうすると、みんなが「イイね」と思うものはすぐに浸透するので、差別化が困難になります。

この矛盾にモヤモヤしていたのですが、『「バカな」と「なるほど」』吉原英樹 神戸大学名誉教授 を読んで相当にすっきりとしました。

「バカな」ははたから見たら突拍子もないこと、おかしなこと。

「なるほど」はそれをしっかりと聞いてみると合理的なこと。

「合理的でかつ差別的戦略」、と言われると難しいのですが、「びっくりするようなプランだけとよく聞くと合理的」 というのは、実現できそうな気がしてきます。

この本は、1988年に発刊され絶版となっていたものが、2014年に復刊した本だそうです。

ソフトパワー

国の力にはハードパワーとソフトパワーの2つがあるそうです。

ハードパワーとは、軍事力、経済力、国際政治力など明確に“力”として使用し他国を屈服するもの。

一方のソフトパワーとは、文化や芸術などで、それに触れることで他国の人々を魅了させるもので、やさしく心を掴むもの。

企業ですと、ハードパワーは市場シェアや資本金、利益といったものでしょうか。

ソフトパワーはブランド力とかノウハウとか企業文化といったものになりそうです。そしてそれらは、無形のまま人から人へと受け継がれるものと、ミッションやルールとして形にして受け継ぐべきものがあるのだと思います。

マニュアルで考える

マニュアルを

「仕事のやり方を伝えるための手段」としてのみ見るか、

「仕事のやり方を考えるための手段」としても見るのか、

この違いが大きいなと思います。

前者の場合、どうしても人から与えられたマニュアルになり、「読まれない」、「守られない」マニュアルになりがちです。

後者として捉えられると、自分たちのマニュアルになるため、当然守られますし業務の改善に合わて同時にアップデートも行われます。

これを実現するための仕組みとしては、業務改善や業務変革とマニュアルと完全にリンクさせることが重要になってきます。

ナビゲーションは便利だが。。

マニュアルを「とにかく分かりやすく、誰でもわかるように、間違わないように、、」と

その機能を究極に推し進めていくと、「ナビゲーション型マニュアル」になっていきます。

例えば、経理処理をするパソコンの画面に、

「次はココを入力」、「次はココを確認してクリック」といったメッセージが出てきて

操作を指示するとか、

例えば、ARなどのの技術を使って空間上に指示を出すとかです。

これは、ある意味でマニュアルの一つの完成形だなと思う一方で、

「人間の機械化」の第一歩でもあり、楽しい働き方とは違うのではないかなとも

考えてしまいます。

生産性は割り算

生産性が高い、良い、低い、悪い、といったことは

私もよく口にもしますし、考えもします。

しかし、忘れてしまいがちなのが、

生産性は、割り算という式であらわされるということです。

生産性=生産されるもの÷基準となるもの

なので、分子と分母に何を持ってくるのかでかなり変わってきます。

テレビ会議での発言回数/テレビ会議の時間、、

会議の為の資料作成時間/会議の時間、、

利益額/投入資本額、、

会社の価値/総労働時間、、

人生の幸せ時間/人生の総時間、、

特に分母をどのくらいの時間軸で見るかでまったく逆の結果になることも

ありそうなので注意深くこの言葉を使おうと思います。

話し合いの前提になるもの

コミュニケーション不足が発生した時に、

「ちゃんと話し合いをしましょう」という解決策があります。

1on1や心理的安全のために発言機会を均等にするなどです。

これはこれで重要なことなのですが、

対象とする社員数が増えると、

コミュニケーションの量が一気に跳ね上がります。

「そもそも必要となるコミュニケーション量を減らしましょう。」

というスタートからアプローチすることが重要なのだと思います。

マニュアル、基準作り、教育など。

ルールの為のルールを無くす

児童、思春期の精神科に勤務されている看護師さんによると、

「子供がルールを守らない!」という状況では、「子供が守れないルールを作っていないか?」を

考えたほうが良いそうです。

コンプライアンスの重視が求められている昨今、

企業ではルールを作ってそのルールを破った際のルールを固めて、、、と

ルールの無限ループに陥っているケースがあります。

「こうなってほしい」という目的とルールの間に、乖離や無理がないこと。

大切なことだと思います。

遵法ストライキなぜ起きる?

「パリのタクシードライバーが、交通ルールを完璧に守る「遵法ストライキ」をすると、

 交通麻痺がおこる。」という話があります。

パリのタクシーに限らず、有名なところではかつての国鉄でもありましたし、

普通の企業でも「あるある」の話題だと思います。

マニュアルでルールを作る側からすると頭が痛い問題です。

色々な原因が考えられますが、パリの交通ルールの例でいうなら、

「前提としていた交通量や安全基準が変わった。」ということでしょうか。

マニュアルでは、「なお、、、」や「XXの場合は、、、」といった

条件付けがやたらと目立ってきた場合は、前提からの見直しタイミングと言えます。

「分かる」について

歴史学者であり、一橋大学新制大学化の指導的役割を果たした上原千禄さんによると

「分かる」とは、「人間が変わる、別の人になる」ことだそうです。

何かが分かるとそれによりその人の、世界観、人間観、仕事観などがかわり、別の人になると。

確かに、深い気付きを得た後に、自分の価値観が変わったという経験はどなたにもあるのではないかと思います。

また、そう考えると、段使っている「分かった!」は、かなり浅く「知った!」というレベルなのだと気づかされます。

マニュアルに関わるものとして、世界観とまではいかなくても、せめて、「分かること=行動が変わる」は目指したいなと思います。