『菊と刀』の著者である、文化人類学者ルース・ベネディクトは、「レンズ」という比喩を用いて「行動の前提としての文化」を説明しました。
「どの国の人々も独自のレンズを通して世界を統覚している。そのレンズを通して与えられた世界はあまりにも自然なため、意識する(メガネをはずすこと)は難しい。そのような時は眼科医(文化人類学者)が必要になる。」
ルースは「菊と刀」を通じて、当時のアメリカ人に自分たちのメガネを意識することを訴えています。
マニュアルを作っているなかで、「自分たちが当たり前と思っていたことが、そうではなかった。」となることがよくあります。
日本企業による不祥事が相次いで起こっている背景にある各組織の文化(隠す文化、ごまかす文化、上に物言えない文化)、あまりに自然なレンズを通して与えられた世界だからこそ、問題が大きくなるまで誰も気が付かないのかもしれません。
マニュアルは万能ではないですが、レンズ(メガネ)を外すことのきっかけになれるような眼科医なれるようにしていきたいと思います。