生産性の罠

「ヒト・モノ・カネ」をうまく組み合わせ、効率を上げ生産性を向上させる。どの企業も生き残りをかけてこの課題に取り組んでいます。重要視されているのが、モノの世界ですね。無駄をなくす、統合するというところで、トヨタ式カイゼンやシックスシグマなどです。

これは私の好きな思想家の山口週さんが書かれていることなのですが、「ヒト」だけにあって「モノ・カネ」にない特性の一つに「資源の可変性」があるそうです。「モノ」も「カネ」も一度「量」が確定すればその後に変わることはないのですが、「ヒト」はモチベーションにより大きく出力が変わるということです。

さて、生涯において、驚異的な生産性を発揮した一人として、史上最高の画家・レオナルド・ヴィンチさんがいます。彼は、芸術だけではなく工学・建築・自然科学・政治・外交においてもその手腕を発揮した人です。で、私などは、「お金があって、時間もたくさんあったからそのような活躍ができたのだろう」と思ってします。しかし、ダヴィンチも私たちと同じように経済的な悩みを抱えていて、常に資金不足に悩んでいたそうです。しかし、貴族からの作品依頼には全く応えずに自分のやりたい事しかしていませんでした。(ダビンチの完成作品は、10程度。ピカソは、15万点)

効率的に仕事を実行して多くの成果をあげたのではなく、経済的に厳しいなかでも自分が本当に興味を持ったことに全神経を集中して仕事をして、結果として広い分野に多くの実績を残したようです。

ひるがえって、多くの企業の現場では、生産効率を上げるために様々な施策を打っていますが、実はそのことがヒトの「資源の可変性」を著しく下方に押し下げてしまっている現場が多いように思います。

日本の労働生産性は、G7最下位ですがこれを上げるのは、改善+「ヒトの好奇心に向き合う」という組織作りも必要なのではと思いました。

shin
ドキュメント、マニュアルの制作運用を経営視点からサポートします。

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